劇場で映画『竜とそばかすの姫』を見てきたので、これからテレビ放映を見ようか、DVD・BDを買おうかどうか迷っている方向けに感想を書いておこうと思います。
『竜とそばかすの姫』は、話題作『時をかける少女』の監督・細田守の最新作ということもあって、期待して見に行きました。結論から言うと、『時をかける少女』を超えることはできなかったが、とても楽しめました。
『竜とそばかすの姫』はどんな映画?あらすじは?
かんたんにあらすじを紹介しましょう。 細田守監督の定番で、ネットの仮想空間「U」と田舎のちょっとしたコミュニティが舞台です。
歌が好きな女子高生・すずが主人公。すずは、幼い頃に母親を亡くし、人前では歌うことができなくなっていた。
すずはある日、スマホやPCからアクセスできる仮想世界「U」と出会う。現実世界では歌えないすずだったが、仮想空間では自分のアバター「ベル」として、歌を歌うことができ、美しい外見と歌声で、仮想世界では有名人となっていった。
そこに、突然現れた謎の存在「竜」があらわれ、「ベル」と「U」は混乱に包まれていく…


『竜とそばかすの姫』は音楽を楽しむための映画
あらすじをみても分かるように「歌」がテーマとなっており、実際に『竜とそばかすの姫』は一言で表現すれば、「音楽を楽しむための映画」でしょう。
テーマ曲は、ワチャワチャ感と透き通る歌声
アニメでいえば、『マクロス・シリーズ』に近い。ストーリーは、そこそこ、音楽でなんとなく見てしまうという作品。その点では、ディズニー作品にも近く、見る人によって大きくハズレることもないし、大きく当たることもないような無難な作品となってしまっている。
『竜とそばかすの姫』 のテーマソングを担当したのは、millennium paradeというグループらしいです。僕は知らなかったけど、日本には有能なアーティストがたくんさんいるんですね。
とても素晴らしい音楽だと感じました。YouTubeで無料でみれるので、気になる人は見てみると良いでしょう。どこか踊りだしたくなるようなリズムが個人的には気に入りました。
逆に言うとテーマソングやBelleの歌声を受け付けない人は、『竜とそばかすの姫』を観ないほうが良いでしょう。
人気ゲームシリーズを手掛ける作曲家も参戦
テーマソング以外も個人的には好みでした。
ゲーム『メタルギア・シリーズ』や『デス・ストランディング』で音響を担当したLudvig Forssell氏も関わっているようで、何となく納得です。
没入するためには、音楽は大事ですね。ドキドキする感じとか、ワクワクする感じとかが、音楽で伝わってきます。

Spotifyでサウンドトラックが公開されています!
ストーリーは、安っぽいが、全体的に悪いわけではない
ありきたりなストーリー展開であって、安っぽいと言わざるを得ないでしょう。ただ「完全なる欠点か」というとそうでもありません。
ストーリーは、安っぽいということは、安心して観れることの裏返しであって、 無難な作品なのです。特に、最近のSNS文化に親しんだ世代であれば、難なく世界観にはいっていけるでしょう。「ああ、ありそうな話だな」という感じで話は進んでいきます。
ストーリーが秀逸な作品は、背景も複雑すぎて、見るのが疲れるというジレンマがあります。本作はそういうことは一切ないです。しかも、コミカルなシーンもあったりして、楽しく見続けられるような工夫も感じますし、良いのではないでしょうか。
ただ、それだけに一つだけ不満があります。最後の最後の展開だけは、とても残念でした。尺の問題なのか、制作上に何かしらの制約があったのか?と感じるところがありました。手抜き?みたいに。
ネタバレになるので、細かくは書けないですが、実際に見ていただけると分かると思います。
とはいえ、『竜とそばかすの姫』のストーリーは、全体的に無難にまとまっており、ストーリーとしては圭作に仕上がっている印象をうけました。
感動できる映画かどうか?は議論がわかれる
鑑賞する前にネットで感想の口コミを見てしまっていて、「感動した」「恋愛映画なのに泣けてしまった!」という感想が結構あって、「え、涙を流す系映画なのか」と期待して観に行きました。
ところが、僕は泣くことはなかったです。展開や脚本に少し無理があるきがして、感情移入というよりは、コミカルさのほうが前に出てて、感動というよりは、笑いの方が多い映画でした。
劇場で鑑賞しましたが、おそらく他のお客さんも同じように感じたのでしょう。涙を誘うような感動的なシーンなはずなのに、どこからともなく笑いが劇場内に起こっていました。僕もつい、笑ってしまいましたね。「ええええ!?笑」みたいな感じに。
なので、感動的な映画かといわれると微妙だけど、ネットでは涙を流している人がいたので、劇場の雰囲気によっては、「感動するかもしれない映画」なのかもしれない。
劇場体験のいいところは、「一緒に見ている人たちと作品を共有できること」だと思いますが、僕の劇場体験では、涙を流すような縁には恵まれなかったということでしょう。
周りがワンワン泣いていたら、一緒に感動で泣いていたのかもしれません(笑)
家で見るなら音響を整えたほうが良い
音楽を楽しむのがメインな映画です。映画館であれば、迫力のある音楽を楽しめますが、自宅で見る場合、シアタールームを家に持っている人は少数でしょう。
それでも音響を整えたほうが楽しめるのは間違いないでしょう。
テレビであれば、これを気にホームオーディオ用のスピーカーを新調するのもよいかもしれません。
他の映画でも楽しめますからね!パソコンで見るにしても、ヘッドホンやスピーカーを最低限整えたほうが良いでしょう。
iPhoneやiPadなら、空間オーディオでみてみるのはいいかもしれませんね(対応するのかどうかしりませんがw)

音楽の好みで人を選ぶ圭作
ストーリーは人を選ばないですが、音楽に関しては好みがはっきり分かれるところだと思います。
本来であれば、ストーリーで音楽の好みを補えれば「神作品」だったのでしょうが、残念ながらその次元に到達していない「圭作」と言えると思います。
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